ウドゥイガマ目次
ウドゥイガマ について
・皆さんは「沖縄」と聞くと、まっさきに何を連想されますか?
ある人は豪華なビーチリゾートを連想し、ある人はマリンスポーツ、そしてまたある人は本土にはない本格的なアメリカ文化に培われたPOPなライフスタイル。それに沖縄と言えば、豊かな大自然を思い起こす人もいるでしょう。
沖縄では、今や海外のビーチリゾートにも引けを取らない位の本格的なリゾート施設も揃い、文化的にも独特の特徴を持つ魅力的なスポットがあまりにも多くありますが、その一方で大自然を堪能できる観光スポットも多く、今帰仁や万座毛などの大自然や絶景を楽しめる定番の観光スポットを思い出される方は多いでしょう。
さらに米軍基地があることから、アメリカ文化が浸透していて、日本人の若者のみならず沖縄へ観光でやってきたアジアの若者をも魅了するような洗練されたセンスのしゃれた雑貨店やカフェなどもあって、「ただのビーチリゾート地」では終わらないもうひとつの顔の沖縄も垣間見ることができるのが魅力です。
・そんな中で、沖縄中部の恩納村に、「ウドゥイガマ」という知る人ぞ知るスポットがあります。この観光地の地名を、初めて聞いた方も多いのではないでしょうか?ウドゥイガマとは長い年月をかけて大自然が作り出した神秘のスポットで、隠れた穴場スポットだと言うことができます。
沖縄本島中部の、恩納村を代表する観光スポットとして有名な万座毛の近くにひっそりと佇んでいる洞窟で、沖縄には何度も行っているリピーターでも、「ウドゥイガマなんて初めて知った!」という方もおられるかも知れません。
実際、ウドゥイガマは万座毛観光のあとで、地元のガイドさんが「ちょっとこっちへ来て下さい」とひっそりと案内してくれるといいます。
鬱蒼と背の高い南国の植物が茂る小道を歩いていくと、唐突に「村指定天然記念物ウドゥイガマ」の看板が立っています。さらにその看板から少し手前に道なき道があり、獣道のような所を通ることでウドゥイガマに到達することができます。
とても観光客が一人で行けるようなところではないのですが、ウドゥイガマのようなくぼみがこのあたりの沿岸や海中には無数にあり、そこは水がきれいで熱帯魚が泳いでいる穴場でもあるので、ダイバーの方にはけっこう有名なようです。
ウドゥイガマはとてつもなく昔の琉球石灰岩層が発達してできたサンゴ礁からできた自然洞窟で、高さは4メートルもあり、中で20人ほどが車座になれるほどの広さがあります。
・ウドゥイガマとは沖縄の言葉で、ウドゥイ(踊り)洞窟(ガマ)を意味します。
その通り、昔は中で踊りの練習をしていて、現在も踊りを奉納しています。昔は8月村芝居の古典舞踊と組踊に任命されたガマシンカと呼ばれる村人が8月1日から10日後の本番までの間、この中で踊りの練習をしたと言われています。
また、この洞窟は昔男女がアポ(約束)をして会っていたことから、アポガマと呼ばれることもあります。
万座毛なら沖縄の定番の観光スポットなので行ったことがあるけど、ウドゥイガマは初めて聞いたという位、穴場的なスポットで、万座毛を見たあとで、地元のガイドの方が連れて行ってくれるケースが多いようです。
最初は「どこに連れて行かれるんだろう」とけげんな顔をしていた観光客も、神秘的で秘密めいた穴場スポットであるウドゥイガマを見学して、その魅力にすっかり魅了される人も多いようで、ガイドさんはすっかり感謝されるそう。
・また、この洞窟を抜けた時に見える海が残波岬までが見渡せるため、「景色が最高!」と訪れた人の間でその絶景が称賛されています。
ちなみにこのウドゥイガマの近くには、透明度の高い海の中にも多数の穴が開いており、幻想的なスポットとして世界中のダイバーの憧れのダイビングスポットなのです。
こうした海の中の穴としてはメキシコのセノーテが有名ですが、こちらは一台メジャースポットとなっているため、まだほとんど無名のウドゥイガマはほんとうの意味での隠れ家スポットと言えるでしょう。
このウドゥイガマが出来た過程ですが、万座毛から西には数万年から数十万年前のサンゴ礁が発達した琉球石灰岩層が延びています。その古さはなんと新生代第四期だそうです。新生代といえば、日本は氷河期で人間はまだおらず、マンモスが陸地を闊歩していた頃なので、このウドゥイガマもとてつもなく古いものなのですね。
・沖縄の海は遠浅で、黒潮の影響もあってとてもサンゴ礁が発達しやすいそうです。そのため、サンゴ礁がさらに発達した石灰岩層がウドゥイガマのような大きな洞窟を作ったと言われています。このウドゥイガマができるまでに太古の昔から何万年もかかっていると思ったら神秘的ですね。ウドゥイガマは沖縄が琉球王国だった頃よりはるか昔から、沖縄の歴史を見てきているのです。
・ウドゥイガマを抜けるとすぐ外にはインスタ映えしそうなエメラルドグリーンから藍色に変化する七色の海。人がほんとうに少ないことから、写真を撮るのにも最適で鬱蒼と茂った南国植物に囲まれている洞窟は神秘的でもあるため、インスタ女子の秘密スポットでもあります。
恩納村指定文化財に指定されているウドゥイガマですが、全くと言っていいほど有名ではありません。
万座毛は観光客で賑わいますが、ウドゥイガマは観光客がほとんどいない、穴場的なスポットです。
人がいないということは、車で来た場合、車上荒らしなども多いので車の中に貴重品は置かないように注意してくださいね。
今日はその神秘的な恩納村のウドゥイガマについてもう少し詳しくご紹介します。
戦争
ウドゥイガマ近くで2020年2月、直径1.5mの琉球石灰石の石積みの見張り台のようなものが見つかりました。
足元の一部はセメントで固められていました。
これは恐らく沖縄での戦争で残波岬の方角から米軍の上陸を監視するために日本軍が設置したもので、高さが1.8mもあることから、身を隠したり砲弾をよけるためのものではないかと見られています。
恩納村では沖縄での戦争時、第二護郷隊(第4遊撃隊)が恩納村を拠点にして、米軍の攻撃に備えていました。
恩納村内では、戦時中の日本軍の陣地となるトーチカが5箇所も見つかっていますが、この見張り台のようなものはトーチカとは明らかに異なっており、村内すべてで見つかった50箇所の戦跡とも違っています。
戦後75年を経てもなお、新たに戦跡が見つかることに対して地元の人は、
「これはもう氷山の一角だろう。
残っているものを正しく伝えていきたい。
もし作られた経緯を知っている人がいたら情報を提供して欲しい」と語っています。
こうして新たに戦跡を見つけても、その人だけに留めるかどうかはその人の自由ですが、
過去の有益となる情報を共有するのであれば是非共有するのが、地元の人の努めといえます。
心霊
沖縄は癒やしの島として知られていますが、約75年前の戦争では日本で唯一、米軍上陸による地上戦が行われた島でもあり、多くの犠牲者を出した悲劇の島でもあります。
そのためなのか、沖縄県内にはたくさんの心霊スポットがあります。
ウドゥイガマの近くの万座毛も実はその心霊スポットのひとつで、県内では「自殺の名所」として有名です。
きれいな海だなあ、と思わず写真を撮ってあとから見ると、無数の手や顔が写っていたというのはよくある話です。
肝心のウドゥイガマはどうかというと、もともと地元の村芝居の古典舞踊と組踊りの練習をする場所だったのですが、戦時中に防空壕代わりに使われたのかどうか、ということは記載されていません。よって中で人がなくなったということはないようです。
いずれにしてもウドゥイガマは、中で踊りが奉納されるような神聖な場所で、騒いだりふざけたりするようなおちゃらけた場所ではないということを覚えておけばいいと思います。
そして沖縄は今や海外のビーチリゾートに負けないような、リゾート地として素晴らしい島である反面、戦争という暗い影を引きずっていて、いまだに米軍に支配されている島だということも忘れてはならないと思います。
万座毛
ウドゥイガマのすぐ近く、地図で見ると500mくらいのところに、沖縄を代表する観光地である万座毛があります。横から見ると崖の形がちょうどぞうさんの鼻のような形をしているんですよ。
万座毛とはもともと琉球王の尚敬が「万人が座するに足る毛(野原)」と言ったことがきっかけで命名されました。毛を「もう」と読んで、意味が原っぱとは、沖縄独特ですよね。
この「毛」がつくスポットはこの万座毛だけではなく、長毛や山嶺毛など複数存在します。かつて琉球をおさめた島津家が琉球と本土の区別をつけるため、沖縄の地名には独特のものをつけたそうです。
余談ですが、苗字でも沖縄は独特のものが多いですが、やはり琉球人と本土人を区別するためのものだったのですね。
この万座毛は、やはり琉球石灰岩でできており、高さは20mもある断崖です。その上からは東シナ海が一望できるので、絶景が楽しめる定番中の定番の観光スポットとして知られています。
しかし万座毛の魅力は絶景だけではありません。
万座毛の上は芝生の公園があり、本土には生息しないような貴重な植物があるのです。例えばコウライシバやタイワンカモノハシ、沖縄マツバボタン、ハナコミカンボクなどです。
その珍しさはわざわざ内外から植物学者が調査にくるほどで、学術的に大変重要なことから県の天然記念物に指定されていますので、珍しいからといって、摘んで帰るのは禁止となっているため、気をつけて下さいね。
行き方
では、ウドゥイガマの行き方をご紹介します。那覇からは万座毛を目指して行くといいでしょう。
・車(レンタカー)では、沖縄では高速道路が発達しているので、まず万座毛まで来て頂きます。所要時間は那覇空港から約1時間です。
距離の割に高速道路が快適ですぐに到着するので驚きます。
途中からは舗装されていないガタガタ道を5分ほど行くと右手側に看板が見えてきます。
駐車場は2つありますが、この看板より先には駐車スペースも無いため、車を片側に寄せ、徒歩となり、看板から少し戻ると道なき道、獣道のような道があるのでそこを通ります。
ウドゥイガマに行くまでには数段の階段を下りていきますが、足元が滑りやすいので注意が必要です。
人が少ないので、日没後は行かないこと。また、車上荒らしにも注意しましょう。
少し行くのが大変ですが、それを乗り越えると神秘のパワースポットや絶景を体験できますよ。
・バスの場合は、那覇空港または那覇バスターミナルからは20番の名護西線、または120番名護西空港線に乗車しましょう。
バスの本数は少なく、特に20番のバスは朝の時間帯のみなので注意が必要です。バスの場合は行き帰りの時刻表を事前に調べていくことをおすすめします。
またバスでは現金の他、OKICAというSUICAのようなカードが使えますので、事前に用意しておくと便利かも知れません。
沖縄の一部ファミリーマートで買え、バスの他ゆいれーるやカーシェアでも使える他、もちろんコンビニ決済もできます。
このOKICAは南国らしくカラフルなデザインの上、利用額に応じてポイントも溜まります。
それをまたOKICAとして使えるので、沖縄に行って使えば使うほどお得となります。
沖縄リピーターなら持っていてもいいのではないでしょうか。